半導体のレジスト工程で使うPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)は、レジストの溶剤としても、装置まわりの洗浄液としても使われます。塗布、現像後のリンス、ノズルやカップの清掃まで、1日の多くの場面で出番があります。

この物質に、2026年10月1日から8時間濃度基準値50ppmが適用されました。これまで管理濃度も許容濃度も設定されていなかったため、社内の基準づくりから始める現場も出てきています。

ここでは、クリーンルームの気流を変えずに、PGMEAの蒸気を発生源で除去する方法を整理します。

PGMEAに設定された濃度基準値と、乾いたあとも続く発生

PGMEAは、労働安全衛生規則にもとづく濃度基準値の対象になりました。告示上の名称は「酢酸1-メトキシ-2-プロピル」、8時間濃度基準値は50ppmで、2026年10月1日施行です。

一方で、作業環境測定の目安になる管理濃度は設定されていません。日本産業衛生学会とACGIHの許容濃度も未設定です。判断の物差しが濃度基準値ひとつしかない状態で、ばく露を抑える義務だけが生じています。

引火点は42℃で、消防法の第4類第二石油類にあたります。クリーンルームでは常温での保管と小分けが中心ですが、ヒーターや装置の発熱部が近い場所では条件が変わります。

沸点は145.8℃と高く、こぼれてもすぐには乾きません。拭き取ったウエス、使い終わった治具、廃液容器の口から、作業が終わったあとも蒸気が出続けます。

【工程別】PGMEA対策の現状と課題

レジスト工程で聞こえてくるのは、装置の排気ではなく、装置を開けたあとの話です。

  • 「コーターのカップを拭くときだけ、においが強くなる」(レジスト塗布工程)
  • 「クリーンルームなので、フードを足すと気流が変わると言われる」(半導体前工程)
  • 「廃液容器の口を開けている時間が、作業によってばらつく」(現像・リンス工程)
  • 「装置の中は排気されているが、メンテナンスで開ければ外に出る」(装置の保守)

いずれも、装置の排気能力ではなく、人が装置を開けている時間に原因があります。

装置の排気が届くのはフタを閉めている間だけ

コーターやデベロッパーには排気が付いていて、運転中の蒸気は装置の中で処理されます。守られているのは、フタが閉まって運転している状態です。

カップの清掃、ノズルの交換、レジスト瓶の入れ替えは、装置を開けて人が手を入れて行います。排気の対象から外れた状態で、PGMEAを含ませたウエスを手に持つ時間が続きます。

乾きにくいので、作業が終わっても発生が止まらない

沸点145.8℃という性質は、作業中に急激に蒸発しない点では扱いやすさにつながります。その一方で、拭き取った面や使用済みのウエスに残り続けるということでもあります。

廃液容器やウエス入れをその場に置いたままにすると、作業が終わったあとも蒸気が出ます。8時間の平均で管理する濃度基準値では、この時間も計算に入ります。

クリーンルームでは局所排気の増設が気流の設計に関わる

クリーンルームは、天井から床へ流れる気流と室内の陽圧で清浄度を保っています。局所排気装置を足して排気量を増やすと、この気流と圧力のバランスが変わります。

清浄度の再検証と空調設備の見直しが必要になるため、「蒸気が出る場所にフードを1つ足す」という話では収まりません。

工程いま行われている対策課題
レジスト塗布(スピンコート)装置内の排気、カップの密閉カップやノズルの清掃で装置を開けると排気の外に出る
現像・リンス装置内の排気、作業時間の管理廃液容器の口を開ける時間が作業によってばらつく
装置の保守・部材交換保護具、作業手順書作業位置が装置ごとに変わり、固定した設備で追えない
ウエス・廃液の一時保管フタ付き容器、こまめな回収乾きにくいため、置いてある間も蒸気が出続ける
クリーンルーム全体天井からの一方向気流、全体換気排気量を増やすと清浄度と陽圧の再検証が必要になる

どの対策も、装置の中か部屋全体かのどちらかを見ています。人が装置を開けて手を動かしている位置だけが、両方から抜けています。

PGMEAを除去する有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」

装置を開けたときに出る蒸気への対策の一つに、有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」があります。蒸気が出ている場所へ近づけて、発生源をピンポイントで除去できる装置です。

日本の特許(特許第7503858号)を取得したTOGAフィルターは99%以上の除去率を持ち、世界30ヶ国以上で導入されています。

有害ガス浄化装置 TOGA-MAC1-AI

有害ガス浄化装置の特徴

対象ガスに合わせて選べるフィルター

TOGAフィルターは、物理吸着と化学反応を組み合わせた多層構造で有害ガスを捕らえます。フィルターは対象となるガスに合わせて選べるため、レジスト工程で使う有機溶剤にはそれに適した構成を組み合わせて使います。推奨交換周期は約1年です。

TOGAフィルターの多層構造

電装部と有害ガス通路を分離した構造

PGMEAは引火点42℃の引火性液体です。装置の内部では電装部と有害ガスの通る経路を分けてあるため、吸い込んだ蒸気がモーターや制御基板に触れることがありません。着火源と蒸気を近づけないための構造です。

電装部と有害ガス通路を分離した内部構造

ダクト工事なしで装置のそばに置ける

浄化した空気を室内に戻すため、屋外への排気口とダクトを設ける必要がありません。排気量が増えないので、クリーンルームの気流と陽圧の設計に手を入れずに導入を検討できます。

建屋側の工事を伴わないため、コーターの前、廃液容器を置く棚の脇、保守で装置を開ける位置に合わせて置けます。装置のレイアウトが変われば、そこへ動かせます。

PGMEA対策は、装置を開けた位置で取ることから

濃度基準値は八時間の平均で見るため、短い作業でも回数が重なれば効いてきます。レジスト工程のPGMEA対策は、装置の排気を強めることよりも、人が装置を開けている位置で捕らえられるかで決まります。

対策をご検討中の方は、まずはお使いの装置のまわりでデモテストを実施し、ご自身の現場で濃度がどこまで下がるかを確かめたうえで導入の可否をご判断ください。私たちTOGAが、クリーンルームの気流と作業導線に合わせた設置の考え方をご一緒に整理します。

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