電子部品や基板の洗浄で使うイソプロピルアルコール(IPA)は、扱いに慣れた溶剤です。水にも油にもなじみ、乾きが速く、拭き跡が残りにくい。だからこそ、洗浄から仕上げまでの多くの工程で毎日使われています。

洗浄そのものは装置の中で終わりますが、そのあとの拭き取りや検査は作業台で行います。作業者が溶剤を手に持つのは、局所排気の効かない場所です。

ここでは、局所排気装置を増やさずに、作業台で出る蒸気を発生源で除去する方法を整理します。

イソプロピルアルコールの引火性と体への影響

イソプロピルアルコールの引火点は12℃です。空調の効いた室内はこの温度を上回っているため、蒸気が出ている場所には常に着火し得る条件がそろっていることになります。

蒸気の重さは空気の2.1倍あります。立ちのぼってすぐ拡散するのではなく、作業台の高さにとどまってから床側へ下りていきます。天井の換気扇を回していても、手元の空気が入れ替わりにくいのはこのためです。

健康影響は、目やのどの刺激、頭痛、めまいとして出ます。日本産業衛生学会の最大許容濃度は400ppm、作業環境評価の基準となる管理濃度は200ppmです。有機溶剤中毒予防規則では第2種有機溶剤に区分されており、作業環境測定と健康診断の対象になります。

洗浄工程でイソプロピルアルコール対策が難しい理由

設備はあっても、実際に手を動かすのは作業台の上だという声をよく聞きます。

  • 「拭き取りのたびに、作業台のまわりに溶剤のにおいが残る」(電子部品の洗浄工程)
  • 「洗浄槽から出し入れするときに、においが一気に立つ」(精密部品の洗浄工程)
  • 「ドラフトはあるが、基板を持ち込めないので手元で作業している」(基板の検査・手直し)
  • 「換気は回しているのに、夕方になると頭が重い」(電子部品の組立工程)

いずれも、設備の性能ではなく作業の形に原因があります。

作業台で行う拭き取りと手直し

洗浄そのものは槽や装置の中で完結しても、そのあとの拭き取り、目視検査、はんだ付け後の手直しは作業台で行われます。基板や治具の大きさ、検査に必要な照明や作業スペースを考えると、囲いの中に持ち込めないためです。

結果として、溶剤を含ませたウエスを手に持つ時間が最も長い作業が、局所排気の効かない場所で行われることになります。

容器を開けている時間が積み重なり、濃度が上がる

洗浄工程では、浸漬・超音波洗浄・拭き取り・乾燥待ちが並行して動きます。それぞれの持ち時間は短くても、容器の蓋が開いている時間、ウエスが空気に触れている時間、部品が乾くまでの時間は重なり合って続きます。

イソプロピルアルコールは乾きが速いことが利点ですが、それは同じ量が短時間で空気中に移るということでもあります。1回の使用量が少なくても、作業を積み上げれば室内の濃度は上がっていきます。

局所排気装置の増設は工事と空調の問題になる

手元の作業に合わせて局所排気装置を増やそうとすると、ダクトの経路確保と屋外への排気口が必要になります。天井裏や壁面に余裕がなければ、建屋側の工事から検討することになります。

排気量が増えれば、その分の空気を外から取り入れることになり、空調の負荷も増えます。クリーンルームや温湿度を管理している区画では、気流と清浄度への影響も検討事項に加わります。増設の話が出ては見送りになる背景には、こうした条件が重なっています。

工程いま行われている対策課題
浸漬洗浄槽の蓋、全体換気部品を出し入れするたびに開口部から蒸気が出る
超音波洗浄局所排気、作業時間の管理超音波で液温が上がり、蒸発する量が増える
拭き取り・手直し保護具、こまめな換気作業位置が定まらず、固定した設備で追えない
乾燥・仕上げ自然乾燥、エアブロー乾くまでの間に蒸気が作業台のまわりに広がる

イソプロピルアルコールを除去する有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」

手元で出る蒸気への対策の一つに、有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」があります。蒸気が出ている場所へ近づけて、発生源をピンポイントで除去できる装置です。

日本の特許(特許第7503858号)を取得したTOGAフィルターは99%以上の除去率を持ち、世界30ヶ国以上で導入されています。

有害ガス浄化装置

有害ガス浄化装置の特徴

対象ガスに合わせて選べるフィルター

TOGAフィルターは物理吸着と化学反応を組み合わせて有害ガスを捕らえます。フィルターは対象となるガスに合わせて選べるため、洗浄工程で使う有機溶剤にはそれに適した構成を組み合わせて使います。推奨交換周期は約1年です。

TOGAフィルター

電装部と有害ガス通路を分離した構造

装置の内部で、電装部と有害ガスが通る経路を分けています。引火点12℃のイソプロピルアルコールの蒸気を吸い込んでも、モーターや制御基板といった電気系統に触れさせません。着火源と蒸気を近づけないための構造です。

電装部と有害ガス通路を分離した内部構造

ダクト工事なしで作業位置に置ける

浄化した空気を室内に戻すため、屋外への排気口とダクトを設ける必要がありません。建屋側の工事を伴わないので、拭き取りや手直しを行う作業台のそばに置き、作業の位置が変わればそこへ動かせます。

空調で温めた、あるいは冷やした空気を屋外へ捨てないため、排気量を増やしたときのような空調負荷の増加も起きません。温湿度を管理している区画でも導入を検討できます。

イソプロピルアルコール対策は、使う場所での除去から

洗浄工程のイソプロピルアルコール対策は、設備を大きくすることよりも、蒸気が出ている場所でどれだけ捕らえられるかで決まります。

対策をご検討中の方は、まずはお使いの現場でのデモテストから始めてみませんか。私たちTOGAが、実際の作業と濃度の条件で除去できるかを検証し、導入を判断していただくための材料をご用意します。

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