フェノール(石炭酸)は常温では結晶で、こぼれても液体のように広がりません。そのため、揮発性の溶剤ほどには蒸気を意識されないことがあります。

ただ融点は40.5℃と低く、湿気を吸って液状になる潮解性もあり、溶液にしたり加温したりすればそのまま蒸気になります。許容濃度は日本産業衛生学会・ACGIHともに5ppmで、いずれにも経皮吸収の注意表記が付いています。

ここでは、フェノール除去が後回しになりやすい理由を整理し、蒸気とミストを発生源で処理する方法を紹介します。

結晶でも蒸気が出るフェノールの性状と、経皮吸収を伴う健康影響

フェノールは融点40.5℃、沸点182℃の白色の結晶です。20℃での蒸気圧は27Paと低い一方、特異臭があるため少量でも存在がわかります。潮解性があり保管中に水分を吸って液状化するほか、溶液として扱う工程や加温する工程では蒸気やミストとして空気中に出ます。

蒸気の相対密度は空気の約3.3倍で、発生すると低い位置に滞留します。引火点は75℃で、加温を伴う工程では引火の条件にも入ります。

健康影響で特に注意されるのが経皮吸収です。ウサギでの経皮LD50は630mg/kgと報告されており、皮膚に付着すると化学熱傷を起こすとともに、そのまま体内へ吸収されます。労働安全衛生法では特定化学物質第3類物質に、あわせて皮膚等障害化学物質等に指定されています。

許容濃度は日本産業衛生学会が5ppm(19mg/m³)、ACGIHがTWA 5ppmで、どちらにも経皮吸収を示す記号が付いています。

【分野別】フェノール対策の現状と残る課題

フェノールを扱う現場からよく聞くのは、設備よりも「手元」の話です。

  • 「成形機まわりで、加熱したときに独特のにおいが出る」(樹脂製造現場)
  • 「フェノール/クロロホルム抽出のとき、遠心にかけたあとの分注をドラフトの外でやってしまう」(分子生物学の実験室)
  • 「廃液瓶を開けた瞬間ににおいが立つ」(分子生物学の実験室)
  • 「希釈のときの跳ね返りが怖い」(消毒剤を扱う現場)

といった声です。

フェノールは手袋の材質によっては透過します。SDSでは化学防護手袋(JIS T 8116)の使用が求められており、材質と使用時間の管理が前提になります。皮膚接触と蒸気の吸入、この2つの経路を同時に断つ必要があるところが、フェノール対策の難しさです。

分野フェノールを扱う主な作業現在の主な対策残る課題
フェノール樹脂の製造・成形反応槽への仕込み、成形時の加熱局所排気、全体換気加熱工程で未反応のフェノールが揮発し、成形機まわりでの捕捉が難しい
化学品・医薬中間体の製造秤量、溶解、反応槽への投入局所排気、工程の密閉化結晶の秤量時に粉じんが立ち、溶解後は蒸気に変わるため、対策の性格が工程ごとに変わる
分子生物学・病理系ラボフェノール/クロロホルム抽出、染色液の調製ドラフトチャンバー、化学防護手袋遠心・分注・廃液処理はドラフトの外に出やすく、容器を開閉するたびに蒸気が室内へ出る
分析・品質管理標準液の調製、廃液の一時保管ドラフト、廃液容器の密閉廃液容器の開閉が頻繁で、保管スペースの空気を管理しにくい
医療・衛生分野フェノールを含む消毒剤の調製と使用、歯科用製剤の取り扱い局所排気、化学防護手袋開放系で少量を扱う場面が多く、希釈や分取のたびに呼吸域の近くで蒸気が出る

共通しているのは、発生する量が多くなくても、作業のたびに呼吸域のすぐ近くでフェノールが空気中に出ているという点です。局所排気やドラフトチャンバーは、発生源を囲えているときには機能します。しかし囲いの外に出た瞬間に効果は届かなくなります。

許容濃度が5ppmと低く、経皮吸収も併せ持つフェノールでは、この「囲いの外」の時間をどう扱うかが対策の分かれ目になります。

フェノール除去を発生源で行う「TOGA-MAC1-AI」

フェノールのばく露リスクを下げる手段の一つに、酸性用有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」があります。この装置は、フェノールを含むさまざまな有害ガスを99%以上除去する国際特許取得のTOGA®フィルターを搭載し、世界30ヶ国以上で導入されています。

ダクト工事が不要なため、実験台や成形機のそばなど、フェノールが実際に空気中へ出ている場所に置いて処理できます。

有害ガス浄化装置

酸性用有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」の特徴

高いフェノール除去性能

TOGA®フィルターは、物理吸着・化学反応・中和を組み合わせた多層構造で有害ガスを捕らえ、99%以上の除去率を実現しています。国際特許を取得した独自のフィルター構造により、フェノールのように蒸気圧が低く、においで気づいた時点ですでに許容濃度に近づいている物質も、通過する気流から取り除きます。

TOGAフィルターの多層構造

電装部と有害ガス通路の完全分離による電気系統の保護

フェノールは水に溶けると弱酸性を示し、皮膚に対しては腐食性を持つ物質です。「TOGA-MAC1-AI」は電装部と有害ガスの通路を完全に分離した独自構造を採用しており、装置内を通るフェノールを含んだ気流が電気系統に触れることはありません。

引火点75℃のフェノールを加温して扱う工程でも、蒸気と電気系統が接触しない構造が引火リスクの低減につながります。

電装部と有害ガス通路を分離した内部構造

ダクト工事不要で、囲いの外の作業位置にも設置できる

ダクトの引き回しがないため、遠心後の分注をする実験台、廃液容器を置く保管スペース、成形機の脇といった、ドラフトチャンバーの囲いから外れる場所にも設置できます。

建屋の改修を伴わないので、実験テーマや生産品目の変化に合わせて移動させることもできます。排気を屋外へ捨てないぶん、空調した空気を室内に残せます。

廃液が出ず、フィルター交換は約1年に1回

フェノールは水質汚濁防止法の指定物質でもあり、洗浄水を使う方式では排水側の管理が加わります。「TOGA-MAC1-AI」は処理に水を使わないため廃液が発生せず、日常の管理はフィルターの交換時期を追うことが中心になります。TOGA®フィルターの推奨交換周期は約1年です。

フェノール対策は、発生源での除去と皮膚防護の両輪で

フェノールは、皮膚から入る経路と呼吸から入る経路の両方を持ちます。保護手袋と保護眼鏡で皮膚接触を断ったうえで、空気中に出た分を発生源のそばで取り除く。この2つが揃ってはじめて、許容濃度5ppmという水準に見合った対策になります。

フェノール除去をご検討中の方は、まずは実際に作業をしている場所でデモテストを実施し、ご自身の現場で濃度とにおいがどこまで下がるかを確かめたうえで、導入の可否をご判断ください。私たちTOGAが、工程と作業導線に合わせた設置の考え方をご一緒に整理します。

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