テトラヒドロフラン(THF)は、塩化ビニル系の樹脂を溶かす力が強く、接着剤やコーティング剤の配合に使われます。硬い樹脂をよく溶かすという長所が、そのまま扱いにくさにつながっている溶剤です。

引火点はマイナス19℃。常温はもちろん、冷やしても引火する条件を下回りません。水とはどんな割合でも混ざるため、こぼしても水で流せてしまい、記録に残らないまま蒸気だけが室内に出ていきます。

ここでは、THFが現場に残りやすい理由を整理し、ダクト工事を伴わずに発生源で蒸気を処理する方法を紹介します。

樹脂を溶かす力の裏返しとしての引火性と健康影響

THFの沸点は65℃で、常温でも活発に蒸発します。引火点はマイナス19℃、燃える濃度の幅は空気中2.0%から11.8%です。蒸気は空気の2.5倍の重さがあり、床に近いところへ流れて溜まります。

健康影響では、繰り返しばく露した際に中枢神経系・呼吸器系・肝臓への影響が挙げられています。発がんのおそれと、胎児への悪影響のおそれも、いずれも疑いのある区分に分類されています。

管理濃度は50ppmで、日本産業衛生学会の許容濃度も同じ水準です。皮膚からも吸収されるため、呼吸だけを守れば足りるわけではありません。

もう一つ、THFには空気や光にさらされると爆発性の過酸化物を作る性質があります。市販品の多くは安定剤入りですが、安定剤の入っていない品もあり、蒸留や濃縮をすると過酸化物が濃くなります。

【分野別】テトラヒドロフラン対策の現状と課題

THFを扱う現場で聞こえてくるのは、ドラフトの外に残る作業をどうするかという話です。

  • 「ドラフトの中で配合はするが、秤量と小分けは実験台でやってしまう」(樹脂・接着剤の配合開発)
  • 「試作のたびに置き場所が変わるので、固定のフードを付けようがない」(試作・少量生産)
  • 「ドラフトが埋まっていて、順番待ちのあいだに実験台へ流れる」(品質管理・分析)
  • 「接着剤の缶を開けたまま作業するので、においが手元にずっとある」(少量の接着・組立)

といった声です。THFは有機溶剤中毒予防規則の対象で、屋内で扱う作業には作業主任者の選任や定期の健康診断が義務づけられています。

ドラフトの中は守られていても、秤量、小分け、器具の洗浄、少量の塗布は、囲いの外の作業台で行われます。

ダクトを引いてフードを増設できれば早いのですが、実験台に後から屋外までの経路をつくるのは簡単ではありません。試作の現場では、扱う品目が変わるたびに作業する場所も動きます。固定の設備とは相性がよくありません。

THFが水とどんな割合でも混ざることも、状況を見えにくくします。こぼしても水で流せてしまうので、出来事として記録に残りません。液体としては片づいたように見えて、空気中へ出た分はそのまま室内に残ります。

分野THFを扱う主な作業現在の主な対策課題
樹脂・接着剤の配合開発秤量、溶解、粘度の調整ドラフトチャンバードラフトの中で配合しても、秤量と小分けは実験台に出る
試作・少量生産少量の塗布、貼り合わせ、乾燥前の取り回し可搬式の局所排気、保護具試作ごとに作業する場所が変わり、固定のフードを付けられない
品質管理・分析標準液の調製、器具洗浄、廃液の一時保管ドラフト、施錠管理ドラフトの台数が限られ、順番待ちのあいだに実験台へ流れる
少量の接着・組立作業接着剤の塗布、ハケや治具の洗浄全体換気、保護手袋缶やハケを開けたままの時間が長く、手元に蒸気が残り続ける

共通しているのは、守られているのがドラフトの中だけで、人が手を動かすのは作業台の上だという点です。

テトラヒドロフランを除去する有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」

THFのばく露と引火のリスクを下げる手段の一つに、有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」があります。蒸気が出ている場所へ近づけて、発生源をピンポイントで除去できる装置です。

日本の特許(特許第7503858号)を取得したTOGA®フィルターは99%以上の除去率を持ち、世界30ヶ国以上で導入されています。

有害ガス浄化装置

※ 大風量の排気設備や、法令で求められる屋外排気設備の代わりになるものではありません。

有害ガス浄化装置の特徴

高いテトラヒドロフラン除去性能

TOGA®フィルターは、物理吸着・化学反応・中和を組み合わせた多層構造で有害ガスを捕らえ、99%以上の除去率を実現しています。日本の特許(特許第7503858号)を取得した独自のフィルター構造により、少量ずつ繰り返し出る蒸気も、通過する気流から取り除きます。

TOGAフィルターの多層構造

電装部と有害ガス通路の完全分離による引火リスク低減

引火点マイナス19℃のTHFでは、蒸気と電気系統をどこまで遠ざけられるかが安全設計の要になります。「TOGA-MAC1-AI」は電装部と有害ガスの通路を完全に分離した独自構造で、装置内を通る蒸気が電気系統に触れることがありません。

空気より重い蒸気が床付近に溜まりやすい環境でも、発生源のそばに置いて吸い込ませられます。

電装部と有害ガス通路を分離した内部構造

ダクト工事不要で、囲いの外の作業位置にも設置できる

ダクトの引き回しがないため、秤量する実験台、ハケや器具を洗う流しの脇、塗布を行う手元など、ドラフトの囲いから外れる場所に設置できます。

建屋の改修を伴わないので、試作の品目が変わって作業する場所が動いても、そのまま持っていけます。排気を屋外へ捨てないぶん、空調した空気を室内に残せます。

廃液が出ず、フィルター交換は約1年に1回

THFは水にどんな割合でも溶けるため、洗浄水を使う方式では排水側に移るだけになります。この装置は処理に水を使わないため、その工程自体が生じません。

TOGA®フィルターの推奨交換周期は約1年で、日常の管理はフィルターの交換時期を追うことが中心になります。

テトラヒドロフラン対策は、短い作業の積み重ねを見直すことから

テトラヒドロフラン対策で行き詰まるのは、置き場所です。ドラフトを増やすのも、実験台までダクトを引くのも簡単ではありません。ダクトを引かずに置ける装置なら、この制約を受けません。

テトラヒドロフランの除去をご検討中の方は、まずは実際の作業台でデモテストを実施し、ご自身の現場で濃度がどこまで下がるかを確かめたうえで導入の可否をご判断ください。私たちTOGAが、作業の流れに合わせた設置位置の考え方をご一緒に整理します。

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