メチルエチルケトン(MEK)を扱う現場では、局所排気装置を設置していても「作業台のまわりで溶剤臭が消えない」「ドラフトの外で行う拭き取りが気になる」といった声が残ります。

日本産業衛生学会が示す許容濃度は75ppm、ACGIHのTWAも75ppmで、作業環境評価基準の200ppmよりかなり低い水準です。同じ換気設備のままでよいのかを問い直す現場が増えています。

ここでは、MEK除去が現場で難しくなる理由を整理したうえで、ダクト工事を伴わずに発生源で蒸気を処理する方法を紹介します。

引火点マイナス9℃のMEK蒸気が発生する工程と滞留の実態

メチルエチルケトン(2-ブタノン、MEK)は沸点80℃、20℃での蒸気圧10.5kPaの液体で、容器や槽を開ければそこから連続して蒸発します。引火点はマイナス9℃(密閉式)、爆発範囲は1.8〜11.5vol%。冬の室温でも引火点を大きく上回るため、常に引火の条件が整った状態で扱う溶剤です。

蒸気の相対密度は空気の約2.4倍あり、上に抜けずに床面へ流れて低いところに溜まります。SDSには遠距離引火の可能性も記載されています。

MEK蒸気が出るのは、塗料・接着剤の希釈と洗浄、印刷ローラーやブランケットの洗浄、粘着テープの塗工と乾燥、樹脂の溶解、金属部品の脱脂、研究室での抽出や器具洗浄といった、いずれも容器を開けて手を動かす作業です。

許容濃度75ppmが示すMEKばく露の健康リスク

MEKのばく露で最初に現れるのは眼と気道の刺激です。GHS分類では強い眼刺激(区分2A)と皮膚刺激(区分2)に該当し、単回のばく露でも呼吸器への刺激や眠気・めまいを生じるおそれがあります。反復してばく露した場合には、神経系への障害が指摘されています。

数値としては、日本産業衛生学会が許容濃度75ppm(221mg/m³)、ACGIHがTWA 75ppm・STEL 150ppmを示しており、いずれにも皮膚吸収の注意表記が付いています。

一方、作業環境評価基準は200ppmです。作業環境測定の結果が基準を満たしていても、学会が示す水準から見れば余裕があるとは言い切れない状況が生まれます。

【分野別】MEK対策の現状と課題

MEK対策の中心は、局所排気とドラフトチャンバー、そして防毒マスクです。ただ現場で聞こえてくるのは、設備そのものへの不満よりも「設備の外側で起きている作業」の話です。

  • 「ブースの中は守られているが、調色台での希釈と計量は素手に近い」(塗装現場)
  • 「ローラーを拭くときはウエスに含ませるので、顔が拭き面のすぐ上にくる」(印刷現場)
  • 「ドラフトが埋まっていて、少量の脱脂は実験台でやってしまう」(研究室)

といった声があります。

MEKは蒸気圧が高く、拭き取ったウエスや開けたままの容器からも蒸発が続きます。作業そのものが数分で終わっても、その周囲には蒸気が残り、空気より重い蒸気は床付近に滞留します。

分野MEKを扱う主な作業現在の主な対策残る課題
塗装・コーティング塗料の希釈、治具の拭き取り、スプレーガン洗浄スプレーブース、局所排気調色と洗浄はブース外で行われることが多く、呼吸域の濃度が下がらない。床付近に滞留した蒸気の引火リスクも残る
接着剤・粘着テープ製造塗工液の調合、塗工から乾燥までのライン作業全体換気、防毒マスク蒸気が連続して発生するため吸収缶の交換時期を判断しにくく、面体の隙間からのばく露も残る
印刷ローラー・ブランケットの洗浄、インキ調整局所排気、保護手袋手拭き作業では顔が発生源に近づく。洗浄後のウエスからも蒸発が続く
研究・分析ラボ抽出、器具洗浄、脱脂、試薬調製ドラフトチャンバー台数が足りず少量作業が実験台に流れる。排気とともに空調した空気も屋外へ出る
樹脂・合成皮革製造樹脂の溶解、含浸、乾燥全体換気、排気ダクト槽の開口部から常時蒸発し、全体換気では発生源付近の濃度が下がらない

表に並べた課題には共通点があります。いずれの方法も「発生したMEK蒸気をどこかへ運ぶ」設計になっており、蒸気そのものを減らしているわけではないという点です。排気は屋外へ、マスクは作業者の呼吸だけを受け持つという分担のため、囲いの外で作業した瞬間に守りが途切れます。

加えて、ダクトを新設しようとすると建屋の改修が必要になり、レイアウトを変えるたびに工事が発生します。

メチルエチルケトン除去を発生源で完結させる「TOGA-MAC1-AI」

MEKのばく露と引火のリスクを下げる手段の一つに、酸性用有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」があります。この装置は、MEKを含むさまざまな有害ガスを99%以上除去する国際特許取得のTOGA®フィルターを搭載し、世界30ヶ国以上で導入されています。

ダクト工事を伴わないため、蒸気が発生している調色台や洗浄台のすぐそばに置いて、その場で処理できます。

有害ガス浄化装置

有害ガス浄化装置「TOGA-MAC1-AI」の特徴

高いメチルエチルケトン除去性能

TOGA®フィルターは、物理吸着・化学反応・中和を組み合わせた多層構造で有害ガスを捕らえ、99%以上の除去率を実現しています。国際特許を取得した独自のフィルター構造により、MEKのように蒸気圧が高く発生量の多い溶剤でも、通過する気流から連続して取り除きます。

TOGAフィルターの多層構造

電装部と有害ガス通路の完全分離による引火リスク低減

引火点マイナス9℃のMEKでは、蒸気と電気系統をどこまで遠ざけられるかが安全設計の要になります。「TOGA-MAC1-AI」は電装部と有害ガスの通路を完全に分離した独自構造を採用しており、装置内を通るMEK蒸気が電気系統に触れることがありません。

空気より重い蒸気が床付近に滞留する状況でも、発生源のそばで吸い込んで処理できます。

電装部と有害ガス通路を分離した内部構造

ダクト工事不要で、作業位置に合わせて設置できる

ダクトの引き回しが不要なため、調色台、洗浄台、実験台など、MEK蒸気が実際に出ている場所の隣に設置できます。建屋の改修を伴わないので、ラインのレイアウト変更や実験テーマの入れ替わりに合わせて移動させることもできます。排気を屋外へ捨てないため、空調した空気を室内に残せる点も運用上の利点です。

廃液が出ず、フィルター交換は約1年に1回

洗浄水を使う方式と違い、処理に水を使わないため廃液が発生しません。TOGA®フィルターの推奨交換周期は約1年で、日常的に必要な作業はフィルターの管理が中心になります。装置側で室内の濃度そのものを下げるため、既存の局所排気や保護具と組み合わせて多重に備えられる点も、管理の見通しを立てやすくします。

MEK対策は発生源での除去から始める

メチルエチルケトンは、蒸気圧が高く、空気より重く、引火点がマイナス9℃という、放っておけば広がる条件が揃った溶剤です。だからこそ、屋外へ運び出す前に、発生した場所で取り除くという考え方が効いてきます。

MEK対策をご検討中の方は、まずは実際の作業場所でデモテストを実施し、ご自身の現場で濃度がどこまで下がるかを確かめたうえで導入の可否をご判断ください。私たちTOGAが、作業内容とレイアウトに合わせた設置の考え方をご一緒に整理します。

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