試薬を保管する棚がある。換気扇も回っている。臭いもあまり気にならない。そうした状況を見て、「安全に保管できているはず」と考える研究室は少なくありません。
しかし、リスクアセスメントの視点であらためてその環境を見直してみると、実は「見えていないリスク」が潜んでいる可能性があります。
ここでは、従来の試薬庫にありがちな3つの盲点を紹介しながら、
その対策として注目されている「完全密閉型試薬庫」の有効性についてご紹介します。
「きちんと保管している」は本当に安全?
多くの研究室では、薬品や試薬を専用の棚やキャビネットに保管し、それらを「試薬庫」として扱っているケースが一般的です。見た目には整理整頓されており、ラベルも貼られ、管理されているように見えます。
しかし、リスクアセスメントの視点に立ったとき、
「揮発した成分が外部に漏れていないか?」
「隣接する薬品と反応しないか?」
「その棚は密閉性を備えているか?」
といった構造や環境面の評価が必要になります。
とくに、棚型の収納は「開放系」であることが多く、ガスの封じ込めが難しいという問題があります。ドアがあっても完全に密閉されていなかったり、換気が不十分だったりすることで、気づかぬうちに研究室内に揮発成分が広がっているケースもあります。
さらに、「臭いがしないから大丈夫」と判断してしまうのも危険です。なぜなら、有害な成分の中には無臭・低濃度でも長期的な健康影響を及ぼすものがあるからです。
見た目では判断できない「構造的なすき間」。それこそが、リスクアセスメントで見落とされがちな最初の盲点なのです。
揮発・臭気・漏洩──見落とされがちな3つのリスク
リスクアセスメントでは、「想定される危険性」だけでなく「見落とされがちなリスク」にこそ目を向けることが求められます。特に試薬庫に関しては、以下の3つのリスクが見過ごされやすいポイントです。
リスク①:試薬の揮発による空気環境の汚染
揮発性の高い試薬は、密閉されていない空間に保管していると、少しずつ気化して空気中に拡散します。
たとえごく微量でも、長期的なばく露が作業者の健康に影響を与える可能性があります。
また、混在した複数の成分が空気中で反応を起こすリスクも無視できません。
リスク②:臭気による作業環境の悪化と“慣れ”の恐ろしさ
薬品の臭いは不快なだけでなく、作業効率の低下や頭痛・吐き気といった体調不良につながることもあります。
さらに、毎日少しずつ臭いにさらされることで、感覚が麻痺し異常を感じ取れなくなるという“慣れ”の問題も発生します。
異常に気づけなくなること自体が、大きな安全リスクと言えるでしょう。
リスク③:漏洩時の対応が遅れる構造的課題
試薬瓶の破損やキャップの閉め忘れ、転倒といった物理的な漏洩事故は、どの現場でも起こり得るトラブルです。
しかし、棚型の収納ではそれを即座に封じ込める機能がないため、気づかぬうちに汚染が広がり、他の薬品や作業者への影響が出るリスクがあります。
こうしたリスクは、日常的には「見えにくい」「起きていないように見える」ため、アセスメントシート上でも軽視されがちです。
ですが、起きたときの影響の大きさと、起こる可能性の現実性を冷静に捉えれば、これらが決して無視できないリスクであることは明白です。
換気や開放保管では不十分?
多くの研究室では、「換気しているから大丈夫」「フタを閉めているから問題ない」といった認識のもと、試薬の保管に棚やキャビネットを使い続けているケースが少なくありません。確かに、基本的な衛生管理として換気や整理整頓は重要です。しかし、それだけでリスクを「封じ込める」には限界があります。
換気の限界|拡散してから排出しているだけ?
換気は「外に出す」機能には優れていますが、「出さない」ことはできません。つまり、揮発性ガスが一度空気中に出てから排出されるまでの間、作業者が吸い込む可能性は残ったままです。
また、換気の流れが悪い場所や試薬庫の内部にまで十分な空気の流れが届いていない場合、棚の中でガスが停滞し、開けた瞬間に噴き出すような形で外に出てくることもあります。
開放保管のリスク|利便性と引き換えの不安定性
「すぐに取り出せるように」との理由で、試薬を棚にむき出しで並べているケースもあります。
確かに利便性は高いですが、その分万一の転倒・衝突・落下のリスクが高まり、漏洩や混合といった事故につながる可能性が高まります。
また、ドア付きのキャビネットであっても、密閉されていなければ「拡散を遅らせているだけ」であり、構造的な封じ込めは期待できません。
リスクアセスメントにおいて重要なのは、「何かあったら対応する」ではなく、「何も起こさない」ために物理的にリスクを遮断する仕組みを持つこと。その観点から、換気や開放収納だけではカバーできない「リスクのすき間」を、改めて見直す必要があるのです。
リスクアセスメントから考える、今求められる試薬保管のあり方
リスクアセスメントとは、単に「危険な作業を洗い出す」ことではありません。
重要なのは、「想定されるすべての事態に対して、事前にどのような備えをしているか」という構造的安全性を見直す視点です。
試薬保管におけるリスクは、通常運用時には表面化しないことがほとんどです。
そのため、現場では「今まで問題がなかったから」という理由で、既存の設備や運用を前提にアセスメントを進めてしまいがちです。
しかし、こうした「慣れた運用」が最大のリスクになり得ることを忘れてはいけません。
リスクアセスメントは、「今のやり方で問題がないか?」ではなく、「もっと安全な仕組みに変えることはできないか?」という発想で行うべきものなのです。
「安全対策」を運用に依存させないために
「開けっ放しにしないように注意する」
「こまめに換気する」
「異臭に気をつける」
これらはいずれも人的な努力に依存した対策です。もちろん大切なことではありますが、
運用が乱れた瞬間にリスクが顕在化するという不安定さを抱えています。
だからこそ、アセスメントの結果を踏まえて、設備自体を「封じ込める構造」に置き換えることが、真の意味でのリスク低減につながるのです。
この視点を取り入れることで、試薬庫に求められる条件は変わってきます。「収納できればよい」ではなく、「漏らさない・拡げない・吸着する」という、保管と安全を両立する仕組みが、今の現場には求められているのです。
密閉+除去というアプローチ
こうしたリスクアセスメントの視点から開発されたのが、TOGAの「完全密閉型試薬庫」です。
従来の収納型試薬庫とは一線を画し、「揮発させない・漏らさない・拡げない」という封じ込めを起点にした構造を採用しています。
密閉構造でリスクの拡散をブロック
TOGA完全密閉型試薬庫は、庫内が外気と完全に遮断された密閉空間になっており、揮発性ガスや臭気成分が研究室内に拡散するのを物理的に防ぎます。扉を閉めた瞬間に封じ込めが完了する設計のため、作業後の安全確保にもつながります。
内蔵フィルターによるガスの吸着・分解
試薬の揮発や微小な漏洩に対しては、庫内に搭載された高性能フィルターが対応。有害成分や臭気物質を吸着・中和・無害化し、密閉空間内をクリーンに保ちます。これは単なる「閉じ込め」ではなく、能動的なガス処理機能を備えた点が大きな特徴です。
現場で扱いやすい運用性とメンテナンス性
完全密閉型といっても、取り扱いが複雑では意味がありません。TOGAの試薬庫は、誰でも扱えるシンプルな開閉構造と直感的な操作性を備えており、研究現場のルーティンにすぐ馴染むよう設計されています。
このように、「密閉」と「浄化」を両立したTOGAの試薬庫は、リスクアセスメントで見えてきた“構造的な盲点”に対して、具体的かつ実践的な解決策を提供します。
完全密閉型試薬庫の特徴


TOGA®フィルターで試薬庫から悪臭・有害ガスを完全除去

ダクトレス構造の完全密閉だから有害物質の排出ゼロで環境保全にも寄与

360°回転型キャスター付きで移動、設置が便利

棚がスライド式・高さ調節可能だから試薬を安全に出入れ可能

TOGA®フィルターで試薬庫から悪臭・有害ガスを完全除去

ダクトレス構造の完全密閉だから有害物質の排出ゼロで環境保全にも寄与

棚がスライド式・高さ調節可能だから試薬を安全に出入れ可能

360°回転型キャスター付きで移動、設置が便利
最大の特徴は国際特許取得「TOGA®フィルター」

試薬庫内で発生するリスクのある有毒ガスや悪臭を除去する上で心臓部とも呼べるTOGA®フィルターには次のような特徴があります。
- 優れた有害ガス除去能力で試薬庫内の様々な有害ガスを99%以上除去
- フィルター飽和による2次汚染の可能性を最小化
- 長いフィルター交換周期の延長および効率性を実現
- 窒素酸化物、オゾンなどの有害物質が発生しない
TOGAは独自の技術を駆使して、従来の物理的吸着に頼っていたフィルターを大きく進化させました。活性炭やゼオライトフィルターを使用した従来の物理的吸着のフィルターは、揮発性有機化合物(VOC)の除去には有効でしたが、酸や塩基の除去能力には限界があり、通常3〜6ヶ月ごとの交換が必要です。
一方、TOGA®フィルターは、物理的吸着だけでなく、化学反応と中和反応を組み合わせることで、より多くの種類の有害ガスを効率的に除去することができるようになりました。
フィルターの交換目安は1年と長く、維持費用も抑えられるというメリットがあります。これらの特性により、TOGA®フィルターは従来のフィルターシステムの限界を超え、幅広い化学物質に対する高い除去効率と経済性を実現しています。
※科学物質規制の対象となる主要物質においてフィルターの性能を確認済みです。
保管する薬品に合わせたフィルターのカスタマイズが可能
試薬庫に保管する薬品の種類に合わせてフィルターの組み合わせをカスタマイズすることができるので、どんな薬品にも対応可能。あらゆる有毒ガスやその悪臭に対応できるTOGA®フィルターは、試薬庫としてだけでなく有害ガス浄化装置などの製品としてあらゆる業界でご活用いただいております。
導入している業種と用途一例
- 医療系:分析器から発生する有害ガスの除去。医薬品製造や実験過程で使用される溶剤が揮発する際に発生する有害ガスの除去。
- 化学系:実験後にビーカーや試験管などのガラス器具を洗浄する際に使用される化学薬品から発生する有害ガスの除去。
- 農水系:農薬や化学肥料など、農業で使用される化学物質を保管する際に発生するニオイの除去。
- 文化財:文化財を保存・修復する過程で使用される化学薬品から発生する有害ガスの除去。保存処理に使われる溶剤や防腐剤から発生するガスの除去。
- 食品:食品原料の分析過程で発生する酸や塩基の中和。
国際特許取得


TOGA®フィルターの効果と革新性は国際的にも認められていて、各国で特許を取得しています。
- 米国特許: US8,845,971,B2
- 韓国特許: 第10-0941666号
- 中国特許: 1345867号
海外の展示会情報や新たなテクノロジーの情報については、韓国本社 GT SCIENのLinkedInをご覧ください。
安全は「使いやすさ」と「構造」から見直せる
研究室の安全対策というと、「扱い方を徹底する」「換気を強化する」といった運用面での改善に目が向きがちです。しかし、人の注意力やルールだけに頼る安全管理には限界があります。
だからこそ、リスクアセスメントを行う上で必要なのは、構造そのものがリスクを封じ込めてくれる仕組みを導入することです。
TOGAの完全密閉型試薬庫は、揮発・臭気・漏洩といった見えにくい3つのリスクを、「密閉」と「浄化」によって物理的に制御できる実用的な選択肢です。加えて、誰もが使いやすく、日常の運用に負担をかけない設計である点も、導入のハードルを下げてくれます。
リスクアセスメントは、「何が危険か」に気づくことだけが目的ではありません。本当に重要なのは、その気づきを設備の見直しという行動に結びつけることです。
「なんとなく安全そう」ではなく、「この構造なら、リスクは最小化されている」と自信を持って言える環境へ。
TOGAはそのための製品と視点を、現場の皆さまにお届けします。
研究室で発生する有毒ガスや悪臭お悩みではないですか?
- ダクト追加工事が難しい建物のため換気の問題を抱えている
- 安全対策を強化して女性や若い人たちが安心して働ける現場をつくりたい
- ピンポイントで有毒ガスを浄化する装置があったらな・・・
- 研究施設としてSDGs(脱炭素対策)に貢献したい
国際特許取得TOGA®フィルターが有毒ガスの問題を根本的に解決します