リチウムイオン電池製造現場でのフッ化水素ガス発生の実態

リチウムイオン電池の製造工程では、高性能かつ安定した電池を実現するために、電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF₆)が一般的に使用されています。しかし、この化合物は非常に湿気に敏感であり、空気中の微量な水分と反応することで、有害なフッ化水素(HF)ガスを発生させるという特性があります。

LiPF₆ + H₂O → LiF + POF₃ + HF

このような反応は、セルの組立や電解液の注入工程、封止工程など、わずかな水分が入り込むだけで発生する可能性があり、製造現場では極めて注意が必要です。特に、乾燥環境の管理が不十分であったり、部材の表面に微量の湿気が残っていた場合には、HFガスが想定外に生成されるリスクが高まります。

実際に、国内外の製造現場においてもHFガスの発生が報告されており、現場ではガス検知器によるモニタリングや換気装置の導入など、対策の強化が進められています。とはいえ、完全な発生防止は難しく、発生後の「捕集・除去」の対策が重要となります。

このように、リチウムイオン電池の高性能化と量産体制の強化が進む一方で、フッ化水素ガスという“見えにくいリスク”にどう向き合うかが、安全かつ安定した製造環境を構築する上での大きな課題となっています。

フッ化水素ガスがもたらす製造プロセスへの影響

リチウムイオン電池の製造現場で発生するフッ化水素(HF)ガスは、目に見えないにもかかわらず、製造設備・製品品質・作業者の健康といった複数の側面に深刻な影響を及ぼします。

まず設備面では、HFの強い腐食性が問題となります。金属部品や配管類、センサー類などが劣化しやすくなり、装置トラブルや想定外のダウンタイムが発生する要因となります。特に、製造ラインの高稼働が求められる現場では、こうした設備劣化はメンテナンス工数やコストの増大につながります。

次に、製品品質への影響も無視できません。HFがセル内部や封止部分に影響を与えると、電池の内部反応に悪影響を及ぼし、寿命の短縮や膨張、発熱といったトラブルを引き起こすリスクがあります。これにより歩留まりが低下し、不良品率が増加すれば、製造コストの上昇にもつながります。

また、作業者の健康リスクも重要な観点です。HFは皮膚や粘膜を刺激し、吸入によっては呼吸器障害を引き起こすこともあります。長期的な曝露は慢性的な健康障害の要因にもなり得るため、十分な換気と除去対策が必要です。作業環境が悪化すれば、従業員のストレスや定着率の低下といった人的リスクにも波及しかねません。

このようにHFガスの影響は、目に見えにくいにもかかわらず、製造現場のあらゆる要素に広く波及します。だからこそ、早期に対策を講じ、安全・品質・コストのバランスを保つことが求められています。

現場で求められるフッ化水素ガス対策の要件

リチウムイオン電池の製造現場におけるフッ化水素(HF)ガスのリスクに対処するためには、単に「ガスを除去できる装置」であればよいというわけではありません。生産現場に実装するうえで求められるのは、高効率な除去性能に加え、設置・運用・保守といった現場実態に即した“現実的な対策”です。

高効率なガス除去性能
HFは極めて腐食性が高く、微量でも安全性や製品品質に影響を与えるため、除去装置には低濃度域まで対応できる高い捕集能力が求められます。さらに、製造ラインが24時間稼働している場合も多く、連続処理に耐えうる性能と安定性が不可欠です。

設置スペースや既存設備との互換性
新たに導入する装置が、現場のレイアウトや既存の換気・空調システムと干渉しないことも重要です。省スペース性や柔軟な配置が可能であること、また、ダクト工事が難しい場合に対応できるダクトレス構造も大きな評価ポイントになります。

メンテナンス性と運用コストの最適化
製造現場では、設備のメンテナンス工数を最小限に抑えることが生産性に直結します。したがって、フィルターの長寿命化や交換作業の簡素化は導入検討の際の大きな判断材料となります。また、電力消費が少なく、ランニングコストが抑えられる装置であれば、長期運用を前提とした投資対効果も見込めます。

このように、HF対策は「除去性能」だけでなく、「設置性」「保守性」「経済性」など複合的な視点での評価が必要です。安全と効率を両立させるために、現場に最適なソリューションの選定が求められます。

TOGA有害ガス浄化装置の導入による効果

リチウムイオン電池の製造現場で求められるフッ化水素ガス(HF)対策に対し、TOGAが提供する有害ガス浄化装置は、現場のニーズに即した実践的なソリューションを提供しています。中でも、独自開発の「TOGA®フィルター」を搭載したユニットは、除去性能だけでなく、耐久性・運用性にも優れた設計となっています。

TOGAフィルターの技術概要と除去効率

TOGAフィルターは、物理吸着・化学吸着・中和反応の3つの技術を融合させることで、微量なフッ化水素ガスにも対応できる高い除去性能を誇ります。さらに、低圧損設計により、エネルギー効率も高く、長時間の連続運転にも耐えうる構造です。

また、フィルターの寿命が長く、一般的な活性炭フィルターに比べて交換頻度が少ないため、定期的な保守の負担を大幅に軽減します。

酸性ガスに強い構造で電装部の腐食を防止

従来の有害ガス浄化装置では、酸性ガスが電装部に侵入し、腐食による故障や性能低下を招くケースが課題となっていました。TOGAではこの問題に対応するため、有害ガスの通り道と電装部を完全に分離する独自構造を採用。

これにより、酸性ガスが電子基板や制御系に接触するリスクを根本から排除し、装置の長寿命化と信頼性向上を実現しています。腐食トラブルを避けることで、装置停止や不具合による生産ラインへの影響を抑えられる点は、実運用上の大きなメリットとなります。

運用コスト削減と生産性向上

TOGA有害ガス浄化装置は、省エネ設計と長寿命フィルターにより、排気ダクトを新たに設置する場合と比べて、工事コストや電力消費を抑えることができます。
ダクトの経路設計や建屋工事が不要なため、現場の制約にも柔軟に対応可能で、導入のハードルが低く、結果として総合的な運用コスト削減につながっています。

また、ダクトによる「排出」ではなく、有害ガスを「浄化・除去」する方式のため、作業空間の空気そのものを改善でき、製造品質の安定化と作業環境の快適化にも貢献します。

安全で持続可能なリチウムイオン電池製造のために

近年、脱炭素社会の実現に向けて、リチウムイオン電池の需要は急激に拡大しています。それに伴い、製造現場では生産量の増加と同時に、安全性や環境配慮への要求も高まっています。特にフッ化水素(HF)ガスのような有害物質に対する対策は、作業者の健康や製品品質、さらには企業の信頼性を左右する重要なテーマです。

法規制の動向と企業のコンプライアンス対応

化学物質に関する労働安全衛生法や大気汚染防止法など、HFを含む有害ガスの排出管理は年々厳格化の方向に進んでいます。企業にとっては、コンプライアンスの確保が単なる義務ではなく、社会的責任の一環として問われる時代となりました。

そのため、単に「発生を我慢する」ではなく、「発生したガスを確実に除去する」という姿勢が求められています。特に外部への排出ではなく、現場内で完結する「浄化方式」の導入は、リスク管理上も非常に有効です。

持続可能な製造環境の構築に向けた取り組み

リチウムイオン電池の製造は、高精度・高効率であることが求められる一方で、作業者が安心して働ける環境づくりも欠かせません。有害ガスをその場で処理できるTOGA製品のような局所浄化装置の導入は、環境負荷の軽減と職場の快適性向上の両立に貢献します。

また、ダクト設置のような大掛かりな改修が不要で、省スペース・省工事で導入できるため、既存設備にも柔軟に対応可能です。

TOGA有害ガス浄化装置の導入による長期的なメリットと展望

TOGA有害ガス浄化装置は、電装部とガス経路を完全に分離した内部構造により、酸性ガスによる腐食リスクを抑え、装置そのものの寿命を延ばすことに成功しています。

このように、運用コストの抑制、安全性の確保、メンテナンス性の向上といった複数の要素をバランスよく満たす装置は、持続可能な製造環境の実現に不可欠な存在と言えるでしょう。

生産性と安全性を両立しながら、将来の法規制や市場ニーズにも対応できる設備選定を行うことは、企業にとっての競争力強化にも直結します。

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