2024年に入り、透析室での薬剤誤混入による塩素ガス発生事故が相次いで報告されました。広島県のクリニックや福岡県内の病院では患者・職員あわせて100人以上が避難する事態となり、北海道千歳市の病院でも約400人に影響が及ぶ可能性が生じました。いずれも、日常的な消毒作業の中で起きた事故です。

こうした事故の報道を受け、「自施設でも同様のリスクがある」と判断し、具体的な安全対策に踏み切った医療機関があります。今回は、当社の化学物質除去装置「TOGA-MAC1-AI」を導入いただいた、公立大学法人福島県立医科大学会津医療センター様の事例をご紹介します。

導入施設について

公立大学法人福島県立医科大学会津医療センターは、福島県会津若松市に位置する公立大学の附属施設です。地域の基幹病院として幅広い診療科を持ち、透析療法にも対応しています。

導入の背景:「起きてから対処」ではなく「起きる前に備える」

透析室では、装置の洗浄・消毒に次亜塩素酸ナトリウムや酢酸といった薬剤を日常的に使用します。これらは適切に使用すれば安全ですが、誤って混合してしまうと塩素ガスが発生します。

問題は、こうした誤混入が「特別なミス」によって起きるのではない点です。容器の取り違え、ラベルの誤確認、作業の慌ただしさなど、どの透析室でも起こりうる、ごく普通のヒューマンエラーが引き金になります。

万が一ガスが発生した場合、透析室から隣接するナースステーションや廊下、待合室へ拡散する可能性があり、患者とスタッフの双方に影響が及びかねません。医療安全のさらなる向上を目指す同院では、不測の事態にも即応できる設備面での備えとして、今回の導入を決定いただきました。

TOGA-MAC1-AIが選ばれた理由

発生源でのピンポイント除去

TOGA-MAC1-AIは、塩素ガスが発生した箇所を直接吸引し、フィルターで中和・除去する装置です。室内全体にガスが広がる前に、発生源でガスを捉える設計になっています。

透析室のように複数の装置・患者・スタッフが同じ空間に存在する環境では、ガスの拡散を初期段階で止めることが最も重要です。「拡散してから換気で薄める」のではなく、「発生源で除去する」というアプローチが、この現場の課題に合致していました。

塩素ガスの除去に対応したTOGAフィルターの性能

TOGA-MAC1-AIの中核を担うのが、国内外で特許を取得したTOGAフィルターです。一般的な活性炭フィルターが「物理吸着」のみでガスを除去するのに対し、TOGAフィルターは物理吸着に加え、化学反応と中和反応を組み合わせた独自の除去方式を採用しています。

塩素ガスのような酸性ガスへの対応には、酸・塩基の除去に特化したCタイプフィルターが用いられます。このフィルターにより、塩素ガスを99%以上除去(※当社試験による結果)することが確認されています。

塩素ガスに触れ続けても装置が劣化しない設計

塩素ガスは腐食性が強く、金属や電子部品を侵食しやすい性質を持っています。そのため、塩素ガスを扱う装置では、ガスが内部の電装部に触れることで腐食が進み、故障や性能低下につながるリスクがあります。

TOGA-MAC1-AIはこの課題に対応するため、有害ガスの通り道と電装部を完全に分離した内部構造を採用しています。塩素ガスが電装部に接触しない設計により、腐食による故障リスクを大幅に低減し、長期にわたって安定した性能を維持できます。透析室のように継続的に酸性ガスが発生しうる環境での運用を前提とした設計です。

工事不要で既存の透析室に即設置できる

透析室の環境を大きく変えることなく設置できる点も、採用の決め手となりました。TOGA-MAC1-AIはキャスター付きで移動が可能なため、ダクト追加工事などの大規模な施工は不要です。既存の設備・レイアウトを維持したまま、必要な場所に設置できます。

まとめ|透析室の塩素ガスリスクは、備えられる

塩素ガスのリスクは、事故が起きて初めて顕在化するものではありません。今回の事例は、日常の透析業務の中に潜むリスクに対して、設備面から備えることが可能であることを示しています。

透析室での薬剤誤混入リスクは、規模や体制に関わらず、どの施設にも共通して存在します。次亜塩素酸ナトリウムと酢酸を同じ現場で使っている以上、誤混入のゼロリスクはありません。だからこそ、「万が一が起きたときに何ができるか」を事前に整えておくことが、現実的な安全対策といえます。

弊社担当者からのコメント

この度は、弊社TOGA製品のフィルター性能を高く評価いただき、誠にありがとうございます。 福島・会津の地から、日本全国の医療現場へ「安心・安全な作業環境」の重要性が広く浸透していくことは、私共にとっても大きな喜びです。 今後も、確かな技術で医療の安全を支え続けてまいります。

今回、ご導入いただいた製品はこちら
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