TOGAフィルター
研究施設の安全性とより快適な作業環境を守る上で、私たちの製品の心臓部といえるのがTOGA®フィルターです。
このフィルターは、有害ガス浄化装置や完全密閉型試薬庫など弊社の多くの製品で使用されています。
研究施設の衛生面・安全面の根本的な解決のためにあらゆる有毒ガスに対応できるように開発されたフィルターではありますが、まだ日本国内ではほとんど認知されていません。
ここでは、国際特許取得のTOGA®フィルターの特徴と性能について詳しくご紹介します。
従来のフィルターとの違い
有毒ガスの除去に広く使用されるフィルターの多くは、活性炭による「物理吸着」が主流です。ゼオライトフィルターはアンモニアや揮発性有機化合物(VOC)の除去に効果を発揮しますが、酸や塩基には弱く、頻繁な交換が必要という課題がありました。
TOGA®フィルターは、これらの課題を解決する革新的な技術を採用しています。「物理吸着」に加え、「化学反応」と「中和反応」を組み合わせることで、幅広い有害ガスを効率的に除去します。
その結果、従来の活性炭による物理吸着よりも長いフィルター寿命を実現し、交換の手間とコストを大幅に削減。さらに、多様な有毒ガスに対応することで、よりクリーンで安全な作業環境を提供します。
国際特許取得
TOGA®フィルターの効果と革新性は国際的にも認められていて、各国で特許を取得しています。
- 米国特許: US8,845,971,B2
- 韓国特許: 第10-0941666号
- 中国特許: 1345867号
海外の展示会情報や新たなテクノロジーの情報については、韓国本社 GT SCIENのLinkedInをご覧ください。
TOGAフィルター5つの特徴
ここではTOGA®フィルターの特徴として「性能」「酸・塩基の中和」「フィルター寿命」「カスタマイズ性」「環境配慮」の5つについてご紹介します。
1. 有毒ガスを99%以上除去|デモテストによる確かな性能
従来のフィルター製品は、作業環境によって性能が大きく左右されるため、除去可能な成分は明記されていても、現場で実際にどれだけのガスが除去できるのか、いつ交換すればいいのかといった具体的なデータを示すことは困難でした。
しかし、「研究施設の安全性を守る」という使命を持つ私たちにとって、製品が現場で確実に有毒ガスを除去し、安全な環境を提供できることを実証することは、最も重要な責務の一つだと考えております。
そのため、TOGAでは、導入前にデモテストを実施し、お客様の現場で実際の性能をご確認いただいています。
フィルターのデモ試験結果
作業内容 | 対象物質 | フィルター通過前 | フィルター通過後 |
---|---|---|---|
文化財修復作業 | 酢酸エチル | 300ppm | <0.01ppm |
廃液溶剤 | ホルマリン | 振り切り | 0.5~1ppm |
洗浄 | アセトン | 180ppm | <0.1ppm |
大学 化学実験 | トルエン | 40ppm | <0.01ppm |
塩酸 | 振り切り(12ppm≧) | <0.01ppm | |
酸前処理 | 硝酸 | 7ppm | <0.01ppm |
表面処理 | キシレン | 25ppm | 1ppm |
※デモ結果試験は一部です。詳細をお知りになりたい方はお問い合わせください。
フィルターの性能に関する豊富なバックデータを保有していますので、各研究施設でのフィルター交換時期やランニングコストを見積もることも可能です。
導入をご検討の際は、ぜひデモテストをお申し込みいただき、その性能をご体感ください。
2. フィルターで酸・塩基の中和が可能
TOGA®フィルターは、研究室内に漏れてしまった空気中に含まれる酸や塩基を中和できる画期的なフィルターです。
一般的に、酸性ガスなどを中和するためには、ドラフトチャンバーなどから排出されるガスに含まれる酸や塩基を中和し、大気汚染を防止する装置であるスクラバーが広く利用されています。
しかし、スクラバーには下記のような課題もあります。
スクラバー使用における主な課題
- 廃液処理の問題
中和反応によって発生した廃液の処理や排水基準の遵守など、環境負荷やコストの問題が生じる可能性がある。 - 洗浄液の管理
洗浄液の濃度やpHを適切に管理するために、定期的なメンテナンスが必要。 - 設備の腐食:
酸や塩基は、スクラバー本体や配管などの金属部分を腐食させる可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要。 - 圧力損失と他設備への影響
スクラバー内での気液接触によって圧力損失が発生し、排風機の能力やダクト設計に影響を与えるだけでなく、同じダクト系統に接続された他の設備の動作にも影響を及ぼす可能性がある。 - 騒音の問題
スクラバーの運転音は、60~80dB(A)程度になることもあり、スクラバーの付近で作業する従業員にとって、コミュニケーションが困難になるなどの作業環境に影響を与える可能性がある。
弊社のTOGA®フィルターを搭載した有害ガス浄化装置は、スクラバーではカバーしきれない研究室内に漏れてしまった酸や塩基を中和します。
ダクトレス構造のため、スクラバーのような酸や塩基によるダクト内の腐食のリスクを抑え、空調設備の腐食も予防できるため、間接費用の節約にも貢献します。
3. 化学反応により長いフィルター寿命を実現
一般的に有毒ガスを除去するフィルターというと活性炭やゼオライトフィルターが広く知られています。
従来の活性炭フィルターは、活性炭の微細な孔にガス分子を吸着させることでガスを除去しますが、吸着能力には限界があり、定期的な交換が必要です。
また、ゼオライトフィルターは、種類によっては特定のガスだけでなく、幅広いガスに対して吸着能力を持つものもありますが、吸着能力が飽和すると、それ以上のガスを吸着できなくなります。
TOGA®フィルターは、物理吸着に加え、化学反応を利用することで、吸着したガスを分解・無害化し、従来の活性炭フィルターよりも長いフィルター寿命を実現しました。
※作業環境によりますが弊社のフィルターは1年での交換を推奨しています。
4. 環境に合わせてフィルターのカスタマイズが可能
研究室や作業現場によって取り扱う物質や発生する有毒ガスの種類はさまざまです。
TOGAは、これらの多様なニーズに応えるため、特定の環境に合わせてフィルターの組み合わせをカスタマイズすることができます。
フィルターのカスタマイズ例
フィルタータイプ | 除去可能な成分 |
---|---|
標準 | 一般的な実験室内の有毒ガスを除去 |
Aタイプ | VOCs(揮発性有機化合物)、アルコール、炭化水素、悪臭 |
Bタイプ | 有機化合物、O3、NH3など |
Cタイプ | NOX、SOX、酸・塩基 |
特殊タイプ | 作業場の特性や扱う化学物質別に特化したカスタマイズフィルター |
このようにあらゆる物質に対応できるTOGA®フィルターは、研究施設だけに留まらずあらゆる分野でもご活用いただいております。
導入している業種と用途一例
- 医療系:分析器から発生する有害ガスの除去。医薬品製造や実験過程で使用される溶剤が揮発する際に発生する有害ガスの除去。
- 化学系:実験後にビーカーや試験管などのガラス器具を洗浄する際に使用される化学薬品から発生する有害ガスの除去。
- 農水系:農薬や化学肥料など、農業で使用される化学物質を保管する際に発生するニオイの除去。
- 文化財:文化財を保存・修復する過程で使用される化学薬品から発生する有害ガスの除去。保存処理に使われる溶剤や防腐剤から発生するガスの除去。
- 食品:原料の分析過程で発生する酸や塩基の中和。
TOGA®フィルターを搭載した製品は、お客様の作業環境に合わせて最適なフィルターを組み合わせることで、最大限の効果を発揮します。そのため、お見積もりの際には、作業現場で発生する有害ガスの種類や濃度などの詳細な情報をお伺いする必要があります。
お手数をおかけしますが、まずはお気軽にお問い合わせいただき、ヒアリングシートにご記入いただくか、担当者とのヒアリングにご協力ください。お客様の状況に合わせた最適なフィルター構成をご提案し、正確なお見積もりをさせていただきます。
5. 二次汚染の可能性を最小化し環境に優しい
弊社のTOGA®フィルターを使用した製品は、環境に配慮した設計も特徴の1つです。
ドラフトチャンバーのように有毒ガスをそのまま外部に排出せず、フィルター内でしっかりと吸着・中和するため、大気汚染の防止に貢献します。
さらに、フィルター内に有害物質をしっかりと閉じ込める構造になっているため、フィルター交換時に有毒成分が外部に漏れ出す心配もありません。
また、ダクトを使用する換気設備と比べ、TOGA®フィルターは省エネルギー設計です。必要なのはファンを回す程度の電力のみで、大幅なエネルギー削減を実現します。
ダクトレス構造なので、研究室内の温度や湿度を保ち空調設備にも負担をかけません。
このように、TOGA®フィルターは、環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現にも貢献しています。